ポジティブの裏。
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タイトルの印象とクストリッツァの映画だから、という一方的な思い込みでドタバタ喜劇が全編を覆うのだと思っていた。いや、実際はユーゴ紛争をあつかうのだから一定の深刻さとそれを補う登場人物たちの無責任なまでの楽観主義が貫かれるのだと、ひとり早合点している部分があった。逆を言えば、そうなって欲しいという期待があった。
でも、少し違った。10年前の「アンダーグラウンド」よりも現実感が増している。
登場人物たちの陽気さは相変わらず。あっけらかんとした場面展開もクストリッツァ節は健在。
でも、中盤から、紛争が激しさを増してからルカの笑顔は消えたよ。サバーハはずっと元気で笑顔だったけど、ルカは一人で厄介なモノゴトを抱え込んでいた。
恋だけじゃない。静かに起きた家族の崩壊。人の死。
現実は、まさしくミラクルの連続だった。もはや冒頭のルカとラストのルカは同じ人物ではない。
途方もない明るさとセルビアの風景の美しさ、四季の移ろい。そして、現実世界とのその恐ろしいまでの落差。
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「昔ユーゴスラビアという国があった」
そうだ、まさに過去形だ。
以下、関連作記録。
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「生きることは苦しい」
「ライフ・イズ・ミラクル」の中での台詞。
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ブコバルの空撮映像は息をのむ。現実はいつだって想像を越える。