街の風景。

「パリ、愛してる」。単純だけど、この力強い響き。
連続する短いストーリーの中で、自分が印象に残ったのは「エッフェル塔」「カルチェラタン」「14区」。
「14区」はアメリカから観光に来た中年女性の少しつたないフランス語の独白からなる物語だが、この独白がいい。最後にはここに今いる、生きてることの根源に対する愛、というと言いすぎかもしれないけど、自分の根幹に横たわる愛に対する発見があって、いても立ってもいられなくなるくらいの気持ちになる。パリの風景、というかフランスの風景に私も全く同じことを思い、切なさと同時にすごく心穏やかになったことを覚えている。

私もパリに愛されている。

ラストにふさわしい。