旅はつれづれ。

容疑者の夜行列車

容疑者の夜行列車

読み進めれば読み進めるほどに、ヨーロッパのコンパートメント座席を思い出す。あのボックスの中の閉じられたようで、見ず知らずの他人との開かれた空間を。私は列車の旅で何度話しかけられ、話しかけただろう。言葉を超えて、人がつながる列車の旅。
かの地で私が、うんざりするほど見続けて今でも一番思い出す車窓の風景は、永遠にどこまでも広がっているように思えるあの緑の草地である。たまに牛がいて、グリコのコロンのような牧草が転がっていた。景色がどこまで行っても変わらない。ヨーロッパの雄大さを実感したのだった。
線路とそこを走る列車。待ち人。電車でまたもう一度、ヨーロッパを旅してみたくなる。

この旅が終われば、すぐに次の旅が来ます。(中略)そうやって、ずっと、旅が続いていくんです。