ドゥボス!!!!!

リード・マイ・リップス [DVD]

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これまでこの作品にあまり触手が動かなかったのは、相手役の男性が生理的に苦手だったからだ。不安を助長させるような逆三角形の顔に、私の嫌いな髭。この前の「真夜中のピアニスト」がなかったら、まだまだ手に取るのは先立った気がする。いや、でも食わず嫌いはいかん。
自分としては大好きなドゥボスが出ているだけで幸せで、そのドゥボスの演技がステキでした。彼女の魅力って何なんだろうってこの映画をみながらとりとめもなく考えていたのだけど、一番はあの少し幼い声かな。ちょろちょろと話す声が赤ちゃんみたい。
サスペンス、という触れ込みを先に見たので構えてしまった部分があったのだけれど、実際観た後はちょっと違う印象。ドゥボス演じる聴覚障害を持つ女性が少しずつ殻を破って、変化していく物語だと思った。相手役の男性をきっかけにコンプレックスを解消していくというか。私がいいなと思ったのは、この主役の女性を少し内気、というだけでなくあざとい一面も併せ持った女性として描かれていたこと。その一面は最後にも見られる。
個人的に女性をどう描いているか、というのも映画の価値として重要と思っている。
男にどうしようもなく引っ張られつつも、ぐいと自分の枠内に引き寄せようとする女性に自分の足で立つ強さを感じた。30代という年齢も大きいのかもしれない。