背筋に汗。

久しぶりに読んだ本。須賀敦子翻訳。

ある家族の会話 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

ある家族の会話 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

語り手は作者自身、彼女から見える人たちの会話や振る舞いで、イタリアの第二次世界大戦周辺の時代をも映し出した作品。
これは新たな発見なのだが、一人称で語られているのにも関わらず、語り手本人が埋没しているため三人称の小説を読んでいる感覚になる。ときどき語り手の生活変化が語られてやっと思い出すくらい。
一人の人間から見える世界を描いているため、全体像はどうしても放射線状に線を描く。それが上手く自分は捉えて形に出来なくて。
百年の孤独」を読んだときはそこまで人の相関図や登場人物の名前に困ることはなかったけれど、この小説は何度も迷子になってしまった。人の名前や経歴があっという間にわからなくなる。