他人のことば。

最近は、昔の宿題を粛々とこなしているだけのような読書だ。
一番初めにこの本に触れたのは、本屋での立ち読みで。中村玉緒との対談が良かったのだ。
あのときのときめきは今も消えない。活字になった、彼女の言葉一つ一つの逞しさがまぶしかった。これがテレビで発揮できるか。否。目線も声のトーンも全てはこちらの想像でしかないが、活字がゆえに言葉が立つのだ。
対談という形で語られる人々の半生は、自己語りが陥る客観性の欠如を補ってくれる。多少うそぶく事があったとて、ぐいと引き込まれる魅力がある。