小さなトリップ。

逆さまゲーム (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

逆さまゲーム (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

2月中に読み終えた。いくつか鮮烈な印象を受けたものを下に。

■逆さまゲーム

サウダージは、(中略)言葉じゃないわ。精神の範疇のひとつなのよ。」

「人生が、子供のときブエノスアイレスで遊んだゲームとおんなじように、ただのゲームにすぎないなんて。ペソアは、現実も空想も、すべてのものの、裏側がわかっていたから天才だったのよ。あのひとの詩は、juego del reves 逆さまゲーム。」

読み始めればポルトガルリスボンに、あっという間にさらわれる。男は白く光が反転する陽光の下で、死んだ女の面影と、彼女の残した言葉に思いをはせる。浅はかな私も、フェルナンド・ペソアを一度読まなければならない。

カサブランカからの手紙
アルモドバルの映画を思わせるような、ある女(かつては男)から妹への手紙。過去に何が起こったのかは、明確に示されない。ただそれでも父を許し、死後は母の元へ帰ることを望む最後の文面に、心うばわれるのだ。