小さなトリップ。
- 作者: アントニオタブッキ,Antonio Tabucchi,須賀敦子
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 1998/08/01
- メディア: 単行本
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■逆さまゲーム
「サウダージは、(中略)言葉じゃないわ。精神の範疇のひとつなのよ。」
「人生が、子供のときブエノスアイレスで遊んだゲームとおんなじように、ただのゲームにすぎないなんて。ペソアは、現実も空想も、すべてのものの、裏側がわかっていたから天才だったのよ。あのひとの詩は、juego del reves 逆さまゲーム。」
読み始めればポルトガルのリスボンに、あっという間にさらわれる。男は白く光が反転する陽光の下で、死んだ女の面影と、彼女の残した言葉に思いをはせる。浅はかな私も、フェルナンド・ペソアを一度読まなければならない。
■カサブランカからの手紙
アルモドバルの映画を思わせるような、ある女(かつては男)から妹への手紙。過去に何が起こったのかは、明確に示されない。ただそれでも父を許し、死後は母の元へ帰ることを望む最後の文面に、心うばわれるのだ。