愛の形。

小島聖が見たくってずっと観たかったもの。この作品を自分が受け付けるかなぁ、どうかなぁと迷ってて今まで手にとってなかった。でも、意外といい感じ。ほっとした。


松尾スズキって今ではかなりメジャーになってしまって、ひとつのステータスだよね。「自分、松尾スズキ好きなんだよね」ってゆー奴、よくいるもん。見るもん。
悪くはないけど、彼の場合ある意味マイナーだったからこそ、面白かったというのもある。かなりの割合の人が彼の世界観に共感して賞賛するというのは、何だか少し違うような・・・。社会から少し出っ張った人を描き続けた彼の舞台の作品は、確かにおもしろい。大好きだった。(最近のものは見ていない)あんなに面白いのは、あくまで普通だけど底知れない狂気に帯びた人たちにスポットを当てていたから。今彼を面白いって言ってる人たちって、その人たちに自分の思いをはせて、自分もその狂気が理解できると思っている。もしくはその狂気をさっぱりわからないもの、と捉えて漫画のように感じているのかも。それが悪いって訳じゃなくて、何と言うか、そこを面白いと言う人たちの何と多いことよ。理解できないなーって人はいないのかい?
最近では普通に生活している人たち皆が「自分少しずれてる」って感じてて、そして始末の悪いことにその感覚に酔っているところがあると思う。その「ずれてる」感覚に松尾スズキってジャストフィットしてる感じ。んー・・・。必死でその少数派に加わろうとして圧倒的多数になってしまう、ということの皮肉。ずれていること、が当たり前になっていく光景。
だから、松尾スズキがメジャーになっていくにつれて、何だか一方的にうんざりして興味がなくなってしまっていた。「恋の門」に思うところは特に無い。自分がすんなり観れたことが嬉しかった。ただ、舞台の方が興奮するなぁ。表現方法の問題なのかなぁ。映画という道具を選ぶと、人間がどんなに強烈なキャラクターでも味が薄い。安い。松尾さんの舞台の人間はもっと濃いのに。もっといろんなもん、抱えてんのに。