袋小路、決して無縁なハナシじゃない。

袋小路の男

袋小路の男

この男の袋小路っぷりが何となく、他人ごとに思えない。同時にこの男から離れられない女の袋小路っぷりにも、何となく親近感。自分はこういうタイプじゃないが、亀の一生のような気の長さでここまでの情熱を私は持ち続けられるだろうか。いや、持てない。だからこそ、まぶしい。たぶん、男にとっても。
どこかにずしんと重みがきてもおかしくないのだが、それを意識することなく二人の時間が流れていく。軽く装っているわけじゃない。真摯にその距離を見つめようとするから、このような中くらいの軽さで話が進んでいくんじゃないか。

二人に訪れている、静かな安定感にほっとした。自分も少し落ち着いた。