歴史の共有について。

あなたになら言える秘密のこと [DVD]

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ひと言でいうならば回復の物語。日本での宣伝攻勢を見るにつけ、どんな映画かと思いきやどっこい、自分には退屈な作品となった。今まで何度も描かれてきたであろう話を手を変え品を変え、また刷り込まれた感覚がある。トラウマ系はどうもなぁ…。題材と映画的価値はリンクしない。
ただ映画の好みとは別観点で思うところがあったのでひとつ。それは歴史の共有感覚について。
ヨーロッパにとって歴史的に一番近く、大きな戦争であったであろうユーゴ紛争からもうすぐ10年がたつ。映画の核となるこの紛争を、ヨーロッパは時間の縦軸と土地幅の横軸で共通の記憶として持っている。そう感じるのはユーゴ紛争を題材とした映画を国を問わずもう何度も観てきたからだ。映画のエピソードになること自体、それだけ身近なことであると同時に紛争を歴史として共有しているからに他ならない。ただこの映画もそうだが、共有し得るのはユーゴ紛争が加害者・被害者ではなく第三者としての立場で共有しているが故という条件付ではあるが。(当事者同士ではこうはいかないはず)それでも、こうして時間がたっても風化させない、無関心にならない、他者にならないというヨーロッパの姿勢が映画というメディアからも窺い知れる、ということはすごいことだと思う。そして(今作は省くにして)良作が多い点も重要。
これがヨーロッパの強さだと感じるのである。

余談でもう一点。これはスペイン映画なのだが、全編英語、舞台はデンマークコペンハーゲン(はて採掘場はどこだ…?)、主人公はクロアチア人(たぶん)、最初のほうで出てくるアジア料理屋で流れてる曲は日本曲(誰だ歌っているのは…)と国際色豊かな映画でありました。総指揮アルモドバル、監督のイザベル・コイシェもスペイン人だし、ここの映画製作システムの詳細はわからないけれど「なぜ」という感覚は捨てきれない。フランス人なんて字幕読むのもメンドクサイって全部洋画は吹き替えになっちゃってたけど、スペイン公開時はもちろん英語で全編流したのかしら。それとも吹き替え…?スペイン人は英語オッケー?