生きる話。

永遠の0 (講談社文庫)

永遠の0 (講談社文庫)

人から借りて読んだ。もう借りたのはだいぶ前の話だけれど。
複数の人間から語られる、宮部久蔵という男の話。

かつての話、つまり戦時中の話に関しては、読み応えがあった。

ただ、現代の話があまりにも野暮すぎる。登場人物たちが軽すぎる。弁護士試験に失敗している主人公(?)と姉と、姉の知り合いの新聞記者と、作家がわざと戦時中の人間たちとの差別化を図ろうとしたのかはわからないが、あまりの無知、鈍感さにあきれ果てて、はじめの方はなかなか読み進められなかった。

私は今不謹慎を承知で言うが、できれば戦争に兵士として行って、その兵士がひたすら戦局で逃げ回る物語を読んでみたい。宮部のような立派な思いは持たなくて良い。小市民が戦争という、個人では不可避でかつ理不尽な状況に置かれたときに、生にしがみついて参戦している兵士の話を読んでみたい。