人の業、そして罪。

「大学に入ったら知識をたくさん取り込んで視野を広げてやるんだ!」と思っていたのは遠い昔。
卒業を控えた今、振り返ってみると遊び抜いた記憶しか蘇らない。

ただ大学に入ってから自分が興味というか関心をもったのが、この「在日コリアン」の人たちだった。本を買ったり、借りたりして必死に知識を増やした時期があった。
理由は簡単。自分の好きだった俳優が、「在日コリアン」だったから。
今まで知っていても、自分が覗こうとはしなかった世界。
自分のすぐそばにあったのに、気づかなかった世界。
このことを深く知り考えたことは、無駄じゃなかった。とても意味のあったことで、それだけでも自分の大学生活の大きな糧になったと思う。

この作品は、私の本でしか得ていなかった知識に衝撃と深みを与える内容だった。
「血」が引き起こす濃密な関係は「在日コリアン」に限ったことではない。
けれどこの濃さは、あの時代ゆえの、そして最下層での暮らしゆえの、エグミを含んでいて観る者を平常心では居させない。
この後何年か経ってからも、見返したい作品ではあるけれど、積極的に2度も3度も見たいとは思えない。
鋭い刃先のとがったナイフ、というよりさび付いた出刃包丁みたいな映画。
これだけ人の心をえぐるのは徹底的に綺麗事を排除してるからだし、たけしに同情させないつくりになっているから。それだけ、リアルということ。
痛い。

あ、そうそう。どうでもよいことだけど濱田マリにびっくりどんきー。一流女優だったっす。


青~chong~ [DVD]

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血と骨」は昭和の物語ですが、平成の気分を知りたいのであればこちらがお勧めです。
最近活躍がめざましい李相日監督のデビュー作です。私は今は無きBOX東中野まで観にいきました。

そして、

コリアン世界の旅 (講談社+α文庫)

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在日コリアン」の知識を助けるのにお勧めの一冊。
非常に読みやすい、けれど骨太に彼らの現状を伝えてくれるルポタージュです。
良書です。ぜひ。